ケネス・シーヴの『金持ち課税』って本読みましょうか。みすずなんで高いから図書館でいいぞ

二世紀に渡る先進国の課税の歴史を膨大なデータを元に丁寧に読み解いている、ピケティの対になるような本なんですが、
身も蓋もなく言えば、高所得者に対する高課税はもうムリっぽいんですね
なぜなら強力な補償論課税の動機付けであった大規模戦争、総力戦による中間層・低所得層の犠牲が大幅に縮小してしまったから
また将来においても軍事テクノロジーが後退し、戦争の補償論が復活するような可能性が殆ど無いからです
現代の先進国では国民皆兵も大規模動員も兵員の大量死も必要なくなりました

民主主義の決定により左派リベラルが政権を取った場合においても、その累進課税の強化の度合いは総力戦と比べて比較にならないほど小さいのだと逐一証拠を突きつけて検証しています
結局のところ階級を流動的たらしめるのが総力戦のような異常事態しかなく、そしてこれからそんな事態が起こる可能性は非常に低いよね?という救いの無い話なんです