何を以て個人を認識するのかという問題に関しては作中でちゃんと描写されてる。
世界0での甲と空は、学園生時代の甲と空なのかと言われれば確かに違う。
甲はアセンブラで溶けて死亡しており、それを目の当たりにしている空は数世紀後に出現したコゥを「あなたは甲ではない」と否定した。
その後、コゥ自身は「俺はどの世界の誰よりも門倉甲だ」と自分を認識した。それは、全ての世界の甲の記憶を持った人格だからこそ。
エンディングで現実の地球へと帰還した甲と空は確かに学園生時代の甲と空ではない。
それは甲のみに言える事ではなく、空も同様であることを忘れてはならない。
二人のエンディング時点での人格の行き着いた状態を書くと、
甲:学園生時代にアセンブラで死亡、それ以前に作られていたシミュラクラが数世紀後に無数の世界の甲の記憶をダウンロードして起動、その後に再構成した現実の肉体へ。
空:清城の戦いで方舟計画により肉体は死亡、電子体のみで数世紀経過後ノインツェーンにより電子体が破損、それを補う為にシミュラクラと融合、その後に再構成した現実の肉体へ。
二人に共通して言えるのは現実での肉体は共に亡くなっているということ。仮想の状態としては、甲はシミュラクラが作られた時点からの経験の全てを、更に言えば得られるはずもない別世界の甲の記憶すら持たされたコゥ。
空はオリジナルの脳から発現した電子体ではあるが、破損した電子体を補う為にクゥと融合した状態。
エンディング時点での甲と空はオリジナルの甲と空ではないが、二人ともオリジナルの甲と空を凌駕した存在であると言える。そんな二人を認識しようとする場合、甲的に言えば魂が二人の人格の証明であり、二人とも甲と空なんだなっておもった。