「……野球チームに入ろう」タツ夫はカツ子の部屋で白球を拾い上げてつぶやいた。

お嬢様学園に通い、野球部のエースとして活躍していたカツ子の葬式の次の日だった。
双子の妹、カツ子は地区大会決勝で見事完全試合を達成したが、
連戦連投の無理がたたったのか、自宅に帰るなり心臓発作で急死した。
学園ではカツ子の死を知らないチームメイトが女甲子園を心待ちにしている。
天国のカツ子のためにも……。

タツ夫はウィッグを装着し(妹が貧乳で助かった)お嬢様学園の制服に身を包んだ。
脳裏では2年前、兄妹でキャッチボールをした記憶が蘇る。

「なあ、カツ子、俺も練習したらお前みたいに速い球が投げられるのかな?」
「そうですねぇ、兄さん(クス)」
バシィッ!
「痛ぇ!」
「2年も練習したら」

今日で……2年! 目指せ、全国大会制覇!

なおこの物語は妹の死を受容できないだろう兄のために、臨死の妹が作り上げた
ループ世界である。9人のチームメイト(マネージャー)を全員攻略することで
最終ルート「妹」のロックが外れる。