75点 黄雷のガクトゥーン 〜What a shining braves〜

口当たりは良いが、熱量に乏しい。

まだエロゲを始めて間もないころ、スチームパンクシリーズに結構ハマっていた。
インガノック、シャルノスとプレイし、独特な世界観と魅力ある作画に惹かれたものの、ヴァルーシアのあまりの退屈さに挫折。
以来セレナリア、ソナーニル、そしてこのガクトゥーンを積んでいたが、百合霊さんプレイ後の嘘屋に対する好感を引っさげ、再び青空の消えた世界に復帰してみた。



まず良かった点。
第一に、BGMやSE(大衆の喧騒など)、そしてOPのレベルの高さ。相変わらずここは素晴らしく、文句のつけようがない。
次に、安定した作画と背景。サブキャラの一部はちょっとバランスが悪いかな?と思う時もあったが、全体として大石・AKIRA両氏と遜色ないレベル。
そしてなんといってもヒロインのネオン。フルボイス化の恩恵もあってか、独白多めで回想や葛藤といった揺れ動く心理状態を一色ヒカルが熱演。肉感のある体つきと高い家事スキル。嫁に欲しい(切実)
UIについても一言。用語集は今後も継続して実装して欲しい。



悪かった点。
とにかくシナリオが微妙。各章ごとにサブキャラを使い捨てていくのがスチパンお決まりの構成ではあるが、今回はそうしたサブキャラが伏線として本筋に絡んでくることが殆ど無く、プレイしていて退屈。
ニコラ・テスラにしてみれば、無名の学生の輝きを守ることが重要であることは分かってはいるが、それにしたって...。
これなら章の最後のフラタニティが登場するシーンぐらいで十分だったと言われてしまうかも。
あと、結局スミリヤ家とそこに集った将来のフラタニティ達の関係性、その意義が曖昧だった。回想シーンなども乏しく、互いの友情を描いたシーンなどがないまま、「今こそニコラ・テスラのために協力しよう!」という展開は流石に唐突。
最終章まで理事長の存在を隠したのが良くなかったかな。お陰でメガネくんの小物っぷりが際立ってしまったし、各章ごとにニコラ・テスラと結社との因縁をより直接的な表現で触れたほうが良かったかもしれない。