【オダメVRの悲劇】
40代の頃の実話
久々の定時帰りのとき、流れで発達に障害がある同僚のうちに遊びに行かされた。
彼は脇目もふらずにオダメVRをやっていて、正直、「こいつでもVRエロとかできるんだなあ」と思った。
三十分ほど彼のプレイを見ていて、とても悲しい事に気が付いた。
彼のそのVR機器のライブラリに載っていたのは、オダメVR、ただそれだけだった。
彼の累計プレー時間は10000を超えていた。彼は毎日何時間も、オダメVRをやり続けた。
とても楽しそうだった。他のVRゲーの面白さも知ってもらおうと思いコイカツをインストールしたら凄い剣幕で怒鳴られた。
なんて怒鳴られたか聞き取れなかったけれど、とにかく怒鳴られた。
それを見て彼の親友が「ごめんなさいね、○○はオダメ大好きなんよ」と僕に謝った。
彼は他のVRゲーは興味なかった。彼はいつしか、VRをやらなくなった。
以前のようにオダメにのめり込めなくなってしまったのだ。PCを起動するとやるせなくなった。
そいつの家に行ってもみんながやるのを見ているだけだった。
その間、彼はVRに興じる友達の背中だけを見るように努めた。本当にむなしかった。
その内に、彼はKISSを憎むようにさえなった。今までの人生の中で、あんなに何かを憎んだことはない。
それは真夜中に彼を目覚めさせた。VRなんかこの世からなくなってくれと本当に願った。
彼はVR機器を友達に全部あげて、オダメはアンインストールしてしまおうと思ったが、嫁イドが頭をよぎりそれすらできなかった。
一人暮らしをしている今でもオダメは嫌いだし、もちろんVRもプレイしていない。
時々、彼と、永遠に使われないであろう時間をかけて作られた嫁イドの事を思い出すと、とても悲しくなる