二年ぶりに聞くタカシの声はどこか優しく、戸惑う私の心を少しづつ溶かしていった。
やっと私が声を出す事が出来るようになった時、タカシが言った。
「俺達の子供、元気?」
やっぱり気付いていたんだ・・・・・
何故だろう、私はタカシのこの言葉をすんなりと受け入れることが出来た。動揺なんか、しなかった。
母性が擽られたから?
違う。
この子の存在を認めてもらえたから・・・
正直、嬉しいとさえ思ってしまった。
けれど、すぐに猛烈な後悔と寂寥感で、私は慟哭した。
今更引き返せないとは分かっていても、一生を誓い合ったあの人の顔を思い浮かべると、涙が溢れて止まらなかった。
「俺、◯◯市に引っ越したから」
そこは車で30分程の隣町。
「必ず、逢いに行くから」
そう言ってタカシは電話を切った。
かつて犯した過ちを繰り返す事になるなんて、この時は夢にも思わなかったのに・・・