本当であればマドカは、一刻も早くツバサの無事を自分で確かめに行きたいのだ。
しかし、それを躊躇する理由がマドカにはあるのだろう。

マドカとツバサの間には微妙な距離感が生まれたのだ、と俺は思った。
美容師としてのキャリアを着々と築いているマドカ。
収入面ではデリ嬢時代に遠く及ばないけど、心身共に安定した毎日を送っている。
一方でツバサはデリ業界から抜け出せず、音信不通という話から想像するに、
高収入ではあるが心身ともに不安定な毎日を送っているのかもしれない。

デリを卒業できた者と未だに卒業できずにいる者、この差は大きい。
かつて姉妹のように仲良しだったという2人の間には目には見えない壁ができたのだ。