ところが、駐車場を出てすぐの所で、買い出しリストを部屋に置いてきたことに気づいた。
元の場所に戻すのも面倒だったんで、玄関近くの従業員用のスペースに停めてスリッパも履かずに館内に駆け戻った。
たまとは別に持ってた部屋の鍵でドアを開けた。
食事の間に仲居さんが布団をふたつならべて敷いてくれてた。
今夜はここでたまと二人で寝るんだな。そんな想いをはせながらメモを探した。
メモはすぐ見つかってさっそく買い出しに戻ろうとしたところ、部屋のドアの鍵がガチャガチャと音を立てた。
たまが忘れ物をして戻ってきたのかもしれない。
ふと、たまを驚かせてやろうと思いついた。押入れを開けると二段になってたんで上の段に登り、少し隙間を開けて襖を閉めた。