しかし、俺の目論見は、いつも通りに、外れた。

「その……ね……一泊ぶんなら……Fさんの家に、あるの」
後頭部をガツンと殴られたような衝撃。
「え、いつから?」
「ずっと前……2週間くらい?」
嫁がFさんを見る。
何気ない仕草だったが、俺の知らないことを、嫁とFさんが当たり前のように共有しているのが伝わり、俺は胸がえぐられるような気分になった。
「そんくらいちゃうかな。ヨガ前に寄った時に、置いてったヤツやろ。」
「うん」
俺は身体がフラつくの感じ、思わずテーブルに肘をつきながら聞いた。
「じゃ……帰りは明日の朝?」
「うん……大丈夫?」嫁が心配そうな声を出す。
「大丈夫だよ。ちょっとビックリしただけ。いいよ、たまにはお泊まりしておいで。」
俺は何とか立ち直ると、笑顔をつくった。