小学校の頃、ウチは学校から帰ったらテーブルにその日の小遣いが置いてある方式だった。
おやつが置いてあるなんてシャレたことは、ただの一度もなかったと思う。
姉も俺もおんなじような感じの金遣いだったから、当時は前日以前にもらったお金を繰り越すって考えはなかったはず。
大きな買い物は別にお金を貰っていたし、日々の小遣いはその日のうちに使い切るってのが常だった。
そんな姉が下校時に俺のちょっと先を一人で歩いていた。
連れがいる俺はそれを注視するでもなく二人してダラダラと、少しずつ距離を開けられながら帰っていた。
連れの家を過ぎてから一人になった。
まだ姉の姿は見えていたけれど、だいぶ距離はあるし、そもそも走って追いついて並んで一緒に帰ろうなんていう発想自体がなかった。
そんな姉がひょいと、いつものことのように駄菓子屋へ入っていった。
俺だって学校帰りに直行した経験はあるが、それは道端で拾った100円玉や50円玉をネコババした時ぐらいだった。
なので姉も硬貨を拾ったのだと当時の俺は決めつけた。
だとしたら分け前をくれてもいいじゃないか!と少々ジャイアンに似た発想をして駆け出した。