中学の時まで団地暮らしだった。
襖隔てて隣が高校生の姉の部屋。
夜中に目が覚めて、襖から隣の部屋から明かり漏れてた。まだ姉貴寝てないのかって、正確には覚えてないけど時計を見たらかなり深夜だったと思う。
それもいつものことだったので再度寝ようと目をつぶってたら、ペチ、ペチ、ペチ、って直肌ひっぱたいてるみたいな音が聞こえてきた。
例の風呂上がりのスキンケアでもしてんのかと思ってて、姉貴早く寝ろや、と思いながらウトウトしてると、何か今日はおかしいと変な違和感。その時、
「あっ─」
ってうわずった声が姉貴の部屋からした。
その瞬間、眠気が一気に吹っ飛んだ。
まさか…まさか…と思ったら、心臓がバクバクした。
しばらく音が続いていた。
途中からくちゅっというかカポッカポッと水っぽい音も聞こえてきて、
何度目かの姉貴の犬みたいな鳴き声が聞こえた時、
もういても立ってもいられなくて、布団から起き上がると、それこそ息を殺して物音立てないように集中しながら、
気の遠くなる手間をかけて、襖の隙間を作った。