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 春先とはいえ海からの日差しが眩しい。あにぃはひらりと華麗な身のこなしで馬から降りてきた。太陽が向こう側にあるので、あにぃの全身が黒い裸身のシルエットのように見える。
影絵のようなあにぃの横顔、腰布を着けていてもわかる、あにぃの小さいけれども引き締まったプリけつ。あにぃのプリけつは皆の人気だから、あにぃは砂の上をくるくる回ったりしながら腰を振っておどけ、皆を煽っては歓声を浴びている。
 全速力で走って息がきれた俺は、砂の上にうずくまり、水面で口をぱくぱくさせる魚のように、はぁはぁと口を開けたり閉じたりしながら、力限りにあにぃを呼ぶ。
「あにぃ...あにぃ....あにぃ...」