>>110
 あにぃは、片手をうっそうと茂るヤラの下毛に掌を押し当て、円を描くように丁寧にまさぐり始めた。あにぃはヤラの反応を注意深く観察しながら、円周を狭め、中央を探り当てると、ふたたび茂美をゆっくりまさぐり、円を狭め、中央を探る。
 そんなことを何回も繰り返すうち、ヤラの表情が緩み、下腹部をあにぃに委ねるかのように目をそっと閉じた。あにぃはヤラの表情を確認すると、穴に指を入れてゆっくり出し入れし始めた。 
 馬と同じ穴だ、この間あにぃに描いてもらった絵とも同じだ。最終的にはあそこにぽを入れれば良いんだな、と俺は理解した。
 あにぃは穴の大きさを測るように1本から2本と指の数を増やし、3本指を入れた。あにぃの指は糸巻きを転がすように中をまさぐっているのだろう、ヤラの下腹部があにぃの手でゆっくり回転させられている。
 しばらく続けているうちに、さっきまで身を固くしていたヤラの身体全体が次第に緩み、ヤラの息が大きく深くなってくる。
 さっきまであんなに暴れていたのに、もう気持ち良くなるものなのか。乳牛をよがらせるにはこうすれば良いんだな、と俺は学習する。
 
 あにぃは身体を離し、前に回ってヤラの轡を外した。
 「外して大丈夫なのか?」とシンがあにぃに声をかけた。
 「もう大丈夫。ヤラの鳴き声も聞きたいしね」とあにぃは答える。

 あにぃがさらに続けていると、ヤラの呼吸はしだいに荒くなり、四肢から力が脱けて肘と膝がだらしなく開いてきた。足首を束ねられているので、肘と膝が開くとまるでハエが逆さまになって手足を擦っているような、滑稽な姿になる。
 立派で見栄えのする身体をして、連れてこられた時には、あんなに毅然とした風格を身に備えたヤラだったのに、今はハエのようにだらしない姿で、あの穴を丸出しにしてあにぃに手を突っ込まれてよがっている。
 おまけに、そんな滑稽な姿を種付け相手のあにぃだけでは無く、トンにもシンにも、そして知ってか知らずか俺の目にまで晒してしまうなんて・・と俺は思う。いくら乳牛が生殖だけのために生まれて来たものだとはいえ、これは気の毒すぎる図だ、と思った。
 これが乳牛では無く、馬や犬だったとしても、俺は同じように気の毒な気がしただろう。
 
 しかし、気の毒だなどと思いながらも、俺のぽは勃ってきてしまう。
 あにぃのぽも勃っていた。