俺は採用されて、現地にやってきている。
チラシにあった通り、信じられないほどの高給優遇だ。住む部屋も食事も豪華なものだ。
人生、何が役に立つのかわからない。採用の決め手は、俺がインポテンツ(ED)だから、というのだから。
https://ja.wikipedia.org/wiki/勃起不全
「勃起不全(Erectile Dysfunction; ED)とは、男性の性機能障害(Sexual Dysfunction; SD)の一種であり、陰茎の勃起の発現あるいは維持ができないため、満足に性交の行えない状態をいう」
BOSSに聞いた話では、俺はどうやら一本釣りされたらしい。チラシは皆に同じものを配っていたのでは無く、俺がもらったチラシは俺だけに渡されたもので、チラシにあった「20才男性」という条件は俺が20才だったからだそうだ。
「窮地に陥っている素晴らしい才能を持った人」は日本人男性で、日本ではかなり有名な人物だとの事だが、世間に超疎い自分は実際に「その人」の顔を見ても全くわからない。俺のそんなところも注目されたらしい。
この仕事に直接関わっているのは、白人のBOSS、黒人のTonyと呼ばれている助手、そしてもう一人の助手の俺の三人だ。BOSSもTonyも大柄のムキムキ体格で、俺よりも一回り大きい。
もちろん彼ら二人もEDだ。この仕事は、EDじゃ無いと務まらないよ、ゲイのウケの男も駄目だな、もちろん女は論外。とBOSSは言っていた。
他には、コック、掃除をする人、運転手などの使用人が居るが、会話はまだしたことが無い。BOSSはここのオーナーでは無いそうで、この施設はどこかの会社が所有しているものらしい。