>>35
 「お前の年齢は毎日すごく変わるんだ。朝と夜でも違っている。今のお前には同じ時が一瞬として無い。
 だから、お前の顔や身体を覚えていようとしても無駄なんだ、と、さっきわかった。季節の移り変わりともまた違う。季節なら次に来る季節が想像できる。
 いや、ほとんどの子は俺にとって季節の移り変わりのようなものなんだが、お前は特別だ。予想がつかない。だから俺は今のお前を味わうしか無い」
 独り言のように言って、あにぃは俺の口を吸う。

 「今のお前はいかにも不安定だ。頼りないふわふわした ひな なんだ。明日はすごく良いものになっているかも知れないし、ものすごく醜いものになっているのかも知れない、振れ幅は大きいんだよ、とお前の身体全体が語りかけてくる。
 「辛抱たまらんこの唇は今だけのもの。明日になったらまた違う唇がここにある」
 あにぃはまた独り言を言っては、俺の口を吸う。