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 魔物は気まぐれで、来い来い、と思っているとかえって来ない時もある。そんな時は2人でとりとめのない話をしたり、歌でも作っていれば良い。来なくても良いと思っていると、魔物はしびれを切らして必ずやってくる。

 絵を描いていても良い。お互いの姿を描いた絵も、2人が抱き合っている絵もたくさん増えた。絵は見直してみるとかなり笑える。描き始めは冷静にそのままの形を描いている。でもしだいに熱に浮かされてくるから、気になるところがデカくなったり、濃くなぞられたり、派手な色が付いたりする。刀を突き刺していたりもする。
だから、だいたいの絵は、全体的に見るとぐちゃぐちゃでめちゃくちゃなものだ。

 何事にも研究熱心なあにぃは、戦いについて、馬について、たくさんの絵を描き、その絵に対応する歌を作って歌っていた。覚えておきたい大切なことはそうしておくのが一番良いとあにぃは言っている。
 最近では2人の変なことについても同じように記録を残すようになった。
 たとえば、疾走する馬の上でケツを高くあげている俺の絵。
 空に浮かぶあにぃが俺のケツに、二つの眼を突っ込んでいて、一つの眼は俺の体の中を見ている。眼といってもカタツムリのように触角の先に付いている眼だ。もう一つの眼はびよーーんと長く伸びて、俺の口から出てきている。

 あにぃはこれに対応する「ケツの中の厳粛な暗黒♪」という歌を作っているが、まだ完成していない。「ナギの中には何がある?♪ケツの中の厳粛な暗黒♪不思議な何かが中にあるのか?♪それともカラの筒なのか?♪カラだからこそ吸い込まれるのか?♪」
と歌い、あにぃは「ずいぶん適当な歌だと思うかも知れないが、この歌は難しい。わからないことを歌っているんだからな・・」と言う。旋律はこんな感じだ。
 https://www.youtube.com/watch?v=FhKJgqxNDD8