>>79
 俺たちのはしゃぎように比べて、トンはそんなに喜ばなかった。いや、俺に白が出たと聞いたときはとても喜んでいたのだが、俺が、「筆おろしはなんとあにぃのケツだぜ」と勝ち誇って言い、あにぃが頬を染めて恥ずかしそうに頷くと、トンの様子が変わった。
「このことは、しばらくの間は誰にも言うな。時期が来たら皆には俺からちゃんと話をするから。それからおまえらがしているところを誰にも見られないように十分気をつけろ」とトンは言った。
 あにぃは、はっとして、トンの言う事の意味がわかったようにうなずいた。
 俺は不思議に思ったが、確かにいますぐに戦があるわけでも無いから、黙っていても同じかな、次の戦いに間に合えば良いのだから、と思う。

 トンに、あにぃとちょっと話があるから、と言われ、俺だけ先に帰された。
 なんでだよ、俺の目出度い日なのに、せっかく新しい筒袖着てきたのに、と俺は少し膨れながら1人で小屋に帰った。