(ハ上)(妄想)

本当に楽しい一日だった。
にじさんじの誰かとは初の共演。
最初は誰か一人とかな、とか考えてたけれど一度に三人も。
コントとかやって、観客のみんなが盛り上がってくれて。

――いや、美兎ちゃんのはええけど。
――おまえの躾がええからやなぁ。
――星が綺麗ですねぇ。
――なぁんですぐそういう考え方するの!?
――美兎が一番やから。

夢のような時間。
思い出すのは若干偏った場面だけれど。

あっ、楓ちゃんからの着信だ。
何だよ、まだ私と話したりないってか?
しょうがないなあ、もう少しだけだぞう。

「……はっ」

夢から覚めた。
確かに楓ちゃんからの着信音は鳴っている。
時間は……23時40分!?

「もっ、もしもし」
「起きた!? 配信! 配信! 待機所動いてる!」

あわわわわ、やっば、やっば、急いで謝罪ツイを投げて。
準備なんか良いや、とっとと初めて雑談で時間を稼いで……

『ゆっくり寝てな』
『疲れてんなら休んでて良いぞ』
『これが寝落ち済耐久配信か』

なんだこいつら。
本人が居ないのに、告知もせずに遅刻してるってのにむしろ労ってるって何なんだよ。
スパチャまで投げてるの、全然理解できないわ。アホか。

「皆待っててくれてる……」
「ま、こんなだから雰囲気は大丈夫。でもしっかり謝るんよ」
「くっそ、全力でやるか」

私にできるお返しはこれくらいしかないから。
楓ちゃんにも皆にも甘えさせてもらって、多少時間をかけてでも仕込むことにした。
楽しみに待ってろ、ポタクども。