「ん?……んんんっ!?」
みとちゃんの家で留守番中、雑誌の中に紛れている“ソレ“に気付いてしまった
私とみとちゃんが表紙になっている薄い本
これは所謂“同人誌“というやつなのでは?
「……コピー本、しかも成人向けやん」
ちょっといやらしい感じがする表紙イラスト
その端にはしっかりとR-18の文字が付いている
同人誌自体は私も何冊か持っているけど、まさか自分のR-18本と対面する日がくるとは……
(うーん、めっちゃ気になる……)
みとちゃんはこの本を読んだのだろうか
この中で私とみとちゃんはどうなっているのだろうか
R-18って事はつまり、そういうことなのだろうか
色々と考えつつも、私はいつの間にかその本を手にしていた
(いや、流石に見たらあかんやろ……)
深呼吸をして一旦落ち着く
女神「そうよ楓ちゃん!成人向けだし、人の物を勝手に見るのはよくないのだわ!」
頭の中で、知人によく似た女神様が語り掛けてくる
(そらそうよな、うんうん)
メルティメープル「自分が出てんなら見る権利あるやろ、多分みとちゃんも見とるし問題なくない?」
(一理ある……?)
人狼楓「一人やったら見ても誰にもバレんよな?」
メルティメープル「むしろ今しかないやんな?」
女神「実を言うと女神もちょっと見てみたいかも」
(もいもい!?)
心の内戦(?)は決着し、私の指は恐る恐るページをめくり始める
最初は何気ない日常系ほのぼのシーンが続く
「ほほぉ……くくっ……みとちゃんこれ言いそう」
やばい、ニヤニヤしてしまう
その世界の彼女は結構リアルに表現されていて、台詞の脳内再生も簡単にできた
対する自分の方は、ちょっとイケメン感が強すぎる気がする
(こんな風に見えてんのかなぁ)
そして、いよいよ湿っぽい雰囲気になる二人
「あー、そうきたかぁ……やっばぁ……」
見てるこっちが恥ずかしくなるような甘々なシチュエーション
距離感がもう恋人のソレで、生々しい描写も増えてくる
「うわぁ……これは……くひっ……マジかぁ……」
ページの中、段々とエスカレートしていく二人
本物のみとちゃんもこの本のような反応をするのだろうか
(あっ、やば……)
想像してしまった
彼女がこの本を見て、使って、淫らになる姿を
鼓動はドクドクと激しさを増し、下腹部にはじんわりとした熱と、ぬるりとした感触、
(いやいやいや、流石にみとちゃんの部屋でそれは……)
頭では分かっているはずなのに、指はゆっくりとその場所へ向かう
「ただいまー」
「ほあああああああ!!」
突然開いた背後の扉
情けない声をあげて急いで本を閉じる
まずい、集中しすぎて彼女の帰宅時間を考えていなかった
「あれ?うわーーーー!!かえでちゃん見た!?見たのそれ!?」
「見てない見てない見てない!!」
「いや嘘でしょ!!ほあああって言った!!絶対見た!!絶対絶対!!」
どどどうしよう何か無いか何か何か
「見てないからぁ!!そ、そもそもコレが部屋にある方がおかしくないっ!?」
「あ……それは……」
私の苦し紛れな指摘を受けて、ピタリと止まるみとちゃん
彼女は少し考えた後もじもじとして顔を赤らめ、俯きながらこう答えた
「だってその本、描いたの……だし」
「へ?」