詳細は割愛する。色々あってわたくしこと月ノ美兎は現在、楓ちゃんのおっぱいと膝に挟まれた状態だ。
密かに『おっぱい固め』と呼んでいるこの体勢に持ち込まれた時、その夜は私の勝利する可能性がゼロになる。
考えてもみてほしい。目の前には凄まじい質量なのに無限大の柔らかさを誇る乳袋がふたつ。
その先端には『咥えてください』と言わんばかりのちくびさんが貼り付いているのだ。
おまけに膝枕の気持ちいいこと気持ちいいこと。程よい弾力がありつつ温かくてふかふかで一歩も動けない。
完全に詰み。チェックメイト。あとは身動きがとれないまま気絶するまで掻き回され、続けざまに果て続けるのみ。
「うっとりしちゃって、可愛い。おっぱい吸っててええんよ。こっちも気持ちよくしたるからな」
彼女の豊満な裸体を見て洪水を起こした私の中心部に手が添えられる。いよいよ逃げ道がなくなった。
けれども、今夜の私は慌てていない。何故なら女神ガチャで手にした『キガタ・シーカー(R)』を使ったからだ。
その効果は狂乱耐性と気絶耐性。だからこそ膣に刺激を受けている今でもこんなに冷静なのだ。ああ気持ちいい。
おっぱいもふよっふよに柔らかくて、甘い体臭に包まれて実に甘露な心地がする。冷静に考えて幸せが過ぎる。
「美兎ちゃん、今日は声が抑え目なんや。いつまで持つか見ものやね、んふふ」
ああ、私の弱点を的確に突いてくる。気持ちいい、気持ちいい。徐々に鼻がかった甘い声が我慢できなくなってきた。
これはもうすぐ登り詰めてしまうな。んっ、んんっ、脚が開いたままぶるぶると痙攣し出して、ーッ、ッッ!
「んー。美兎ちゃんイけたねぇ。ナカ、きゅーってなったよ」
はぁ、はぁ、息が切れる。早くも一度目のオーガズムに達してしまった。
だけど、本番はここから。いつもと違って意識が遠くなったり朦朧とはしていない。今度はこちらのターンに……
うそだろ。気付いた。気付いてしまった。
『おっぱい固め』のままでは体勢的に引っくり返せないじゃないか。
「まだ余裕あるみたいやね。へへへ、もっと強くいじったるからいっぱい気持ちよくなってな」
――ぐち。ぬちゅ。にゅぶにゅぶにゅぶ。
何度も何度も一番弱いところを擦られる。いつもならこの刺激で頭が真っ白になっているはずだ。
――ぢゅっぢゅっぢゅっぢゅっ、ぢこぢこぢこぢこ。
粘った水音が繰り返し頭に響く。それは普段では聴いたこともないようなみだらな感触で。
「あっ……また美兎ちゃんイったな。すごいね、今夜は頑張っとるね」
――ずぶぶ、ぬぬっ、ぬるぬるぬる。
えっ、ここなに、触るところが奥すぎる。お腹まで届いてる。私の穴の一番深くまで楓ちゃんが来てる。
「ね、美兎ちゃん。気持ちいい場所、奥にもあるんだって」
――ぬるぬる、つんつんつん。ゆさゆさゆさ。
駄目だ、そこはやばい。冷静に考えてそこの気持ちよさを覚えてはまずい。冷静にかんが、あっ、あ、っ、っ。
「あー、美兎ちゃんのナカ、ぽっかりしてきた。気持ちいいでしょ。ええよ、トんじゃって」
だめだ、やめろ、今の私は意識が、とべ、な、あっ、イク、っ、ッーー!
頭に血が上って、酸素が足りなくなって、息が苦しい。過呼吸みたいに『こひゅー、こひゅー』と変な音がする。
「美兎ちゃん、まだ足りないの? ごめんな、満足させられなくて。何度でもしたるからな」
違う、そうじゃない。十分気持ちいいから。やめろ、あっ、また弱いところ、だめだ、しぬ、死んでしまう……!
結局二桁にのぼる絶頂ののち、冷静に考えた結果弾き出された『死んだふり』で何とか逃れることができた。
この女には防戦が通用しない。やはり私から攻めなくてはならないんだ、と知ることのできる一戦だった。
とは言え、幸せそうに私を抱き締めて寝る顔の良い女を見ると、不思議と『次頑張れば良いか』と前向きになれた。
次の朝、アイテムの効果が切れてから思った。モイラ様には不幸の手紙でも送っておこう。