入りの回想部分なんだけど、あれであの空間をあの2時間だけでなくそれまでの二人の一年弱の時間軸を抱えた質量を持つモノにせしめて見せたわけだけど、あれってそもそもただの雑談なんだよね
何かを伝えようとしたり語ろうとした作られて切り取られた物語でなく、二人の人間が生きていて心の中に持っている物を何の気なしにただ徒然と駄弁ってるだけの
是枝監督が子役に演技させる時に台本を渡さず口頭で説明して自分の言葉で台詞を言ってもらうって話があるけど、あの時間あの空間を作品として見たときに何かそれに通ずるものがあって
歌詞自体もそういう所があって、何かを説くような理路整然と整地された物語でなく、生の吐き出された感情をそのまま綴ったような生々しさをもった詩で
その歌も二人のために作った、詩をあてたものでなく既存の楽曲で、そこで歌われているのは何も特別じゃないありふれた(だからこそ力強い)感情で
それら要素が、御為ごかしやお涙頂戴な感じの押し付けや態とらしさを廃していて、一つの作品として凄く高いレベルでバランスしてる
なんていうかそこにある感情が本当に実際的なんだよ
バーチャルの画面を通して、その奥の、嘘じゃない生きている本当の二人をぶつけられた、だからこそ心を鷲掴みにされて揺さぶられた、そんな感じだった