知らなかったんですか?
私はサブカルチャーには大分明るい気でいるから、こんなの慣れっこです。
公共の場で人の目に晒されても、一般の人よりは気にしてないと思ってるんですよ?
「き、気にするのはこっちやもん……」
エッハハ、なんですかそのかわいい態度。楓ちゃんってそんなキャラじゃないでしょうに。
もうひとつ良いことを教えてあげましょうか。アニメとかゲームをたくさん見ているってことはですね。
シチュエーションも大方受け入れられるってことなんですよ。
最近の配信見たでしょ、妹なんかも全然OKだからさ。
「た、ただの変態やん。妹キャラを狙うとかそんなんないわ」
滅茶苦茶きっちり見とるやないですか。
そうですよ、近親モノだって、自分のなりきり同士の絡みだってイケるクチなんです。
むしろ倒錯している方が面白くて燃える、くらいに思ってるんですからね。
「でも、な。私らの関係は……私はええんやけど、美兎ちゃんが」
あのですねえ、何度言ったら分かるんですかねこの頑固者は。
私自身が気にしないっていってるんだから良いんですよ。
元々同性愛にも理解はあるって自負しているし、大多数と違う恋愛だってどんとこいですわ。
人生で何回『百合姫』読んだと思ってるんだこのやろう。
「いや、私に気を使ってくれるのは嬉しいんやけど。……でも」
オイ、まだうじうじ言うか。それだけだと思うなよ。
もしも楓ちゃんが変態なら、受け入れた私だって大概なもんですよ。
昨夜ベッドで優しくささやいてくれた言葉は、外出した瞬間に無効になってしまうんですか。
他人から身を隠さないと私たちはイチャつくことすらできないんですか。
「っ……ごめん、そういう訳じゃなくて、そのっ」
ごめんなさい、私も強く言い過ぎました。少し整理しましょう。
私はね、血縁関係とか、性別とか、普通だとか。そういうのを気にする人間じゃないです。わかるでしょう?
「……うん」
おまけに恥ずかしい、なんて感情は優先順位がえらく低いです。あ、羞恥心が全然無いってことじゃないですよ。
「ん、まあ、わかります」
だからさ、女の子同士で手を繋ぐなんて当たり前のことなんですから。
さっきから『手を繋いで』って言ってるのは決して同情や情けじゃなくて、
ただ単に手を繋ぎたいから言ってるんですから。
「ほんまに、ええの」
ええも何も、これは私から誘っているつもりだったんですけどね。
恥ずかしがるくらいなら、いっそ見せつけてやるつもりでいったりましょうよ。
「……ん」ぎゅ。
おっし、やっと連結できた。
さて、改めてデートを再開しますか。