「ダリューンくん……彼は一体何をしているんだろう」
「ブロッカーを用意しているのは分かるが……これは」
私は思わず頭を抱えたくなるのをぐっと抑えて王子の行動を見る。
彼は倒しているのだ、敵を一体、一体丁寧に。それはありがたい事ではあるが非効率だ。
「すまない。少し手伝わせて貰うよ」
スキルOKに手を突っ込んで十体の標的をターゲットする。それに4本の矢を降らせた。
そしてその行為を6回繰り返す。これで敵がいなくなった。
「んあ、これで平和になったって言うのかよ?」
「ああ、数えてくれても構わない」
「どれどれ…………本当だ敵が0体になってやがる!!」
偉く驚いた様子で歓喜の声を上げる王子。
私はそんな彼の事などどうでも良いのでセーラを受け取って立ち去ろうと思ったのだが。
「アンタ何者だ! こんな革命的発想を思い付くなんて只者じゃねえな?」
後ろから店主に呼び止められる。仕方がないので私は一度、去ろうとした歩みを止めて後ろを振り返り。
「私の名前はナルサス。君と同じくして、一流の商人を目指すものさ」