>>463
「か、甲冑を……ですか?」 

私の言葉に兵士達は困惑の表情を浮かべる。それも無理からぬ事。 
常識的に言って甲冑は身を守るための道具。それを脱ぎ捨てるなど命を脱ぎ捨てるのと同じ。 
けれどもだ。鎧があろうと剣で貫通されれば死ぬし、身体の動きも重さによって鈍くなる。 
それなら鎧を脱いで俊敏性をあげた方が効率的だ。 

「おおっ! 身体が軽い。防具をつける前よりも軽くなっている気がする……!」 

「本当だ……一体どうして…………?」 

やはりか、と内心で思う。どうやら配給された甲冑の中には鉄粉が練り込まれており、普段よりも重くなっていたのだろう。 
だから甲冑を外すと重さになれた身体が普段の状態でも軽くなったように実感するのだ。 
それは錯覚現象ではあるのだが、兵士達の士気を上げるためにも話に勢いをつける。 

「忌まわしき鎧を脱ぎ去った今。もう君たちを縛るものは何もない、俊敏になったこの肉体を使い共に敵軍を倒そうではないかっ!」 

私にしては珍しく声を大きくする。それを聞いて兵士達の目に輝きが帯びてくる。 

「「おおおおおおおおおおっ!!」」 

勢いよく大地が揺れる。それは獣の声ではない兵士達の闘志溢れる心の咆哮だった。 

「ふむ、いい調子だ。では向かおうか私たちが最強であると示そう!」 

「おうっ! 俺はアンタに付いていくよ……! 絶対に活躍して見せるからなっ!」 
「敵どもをぎゃふんと言わせてやるぜぇぇええ!」