「あるいは……意味などないのでしょうか。
産まれたから生きて、生きたから死んでいく。
生命とは、ただそれだけのものなのでしょか」

52ヘルツのクジラだ。

「……なんですって?」

52ヘルツのクジラの歌は、本来なら誰にも届かないはずだった。
だが、別種の生物である人類が、
その歌声に気づき、その孤独に気づいた。

この世に無駄な生命などないし、無駄な歌もない。
あなたの娘の死も、あなたの悲しみも、
決して無駄にはならない。

必ず誰かが語り継いで、伝えていく。
生命はそうして、より良い未来へと一歩ずつ進んでいく。
そういうものだと、自分は信じている。