梨木へ

この手紙をもって僕のプロデューサーとしての最後の仕事とする。
まず、ガールズシンフォニーの売上不振を解明するために、長谷川雄大氏にをお願いしたい。
以下に、ソーシャルゲームの運営についての愚見を述べる。
不具合の根治を考える際、第一選択はあくまで補填であるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、
発見した時点でdupeや運用に支障をきたした進行症例がしばしば見受けられる。
その場合には、ロールバックを含む全体対応が必要となるが、
残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。
これからの開発運営の飛躍は、補填以外の対応の発展にかかっている。
僕は、君がその一翼を担える数少ないスタッフであると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君にはガールズシンフォニーの発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、ユーザーによる不満がこの世からなくなることを信じている。
ひいては、ガールズシンフォニーのデータを分析の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
失敗は生ける師なり。
なお、自らソーシャルゲームの第一線にある者がdupeを早期対応できず、操縦不能の経営難で死すことを心より恥じる。     

新井勇也