花を、花を見ていたんです。
花の中のあの人は、大き過ぎるほどの悲しみに、心の中で泣き続けていました。
けれど、その人の中に、悲しみと正面から向き合おうとする気持ちがくすぶっていることに、私は気づいていたのです。
ああ、花の中のあなた、私の勇也。
あなたはどうしようもなく立ち上がってしまうのですね。
どうしようもなく…。