対面した2人の遺体には、顔に布がかぶせられていました
まず真菜の顔をめくったらズタズタなんです、もう、傷だらけで
次に莉子を見ようとしたら、看護師さんが、「娘さんは、見ないほうがいいと思います」
親族からも、「将来、莉子ちゃんの顔を思い浮かべるときに、あのかわいい顔を思い出せなくなるよ」
そうか、と思って
それでも名残惜しくてちょっとだけめくったら、頬に穴ができてて、奥歯が見えて
ああこれはダメだな、これ以上めくったら心が壊れるなってやめましたね
莉子は、その後、業者の方から、遺体を修復するエンバーミングに「顔だけで3日かかります」と言われたほどのひどい損傷でした
出来上がった顔は、ほとんど作り物で人形みたいな質感で、それでも近づいてみると本物の肉の部分もあって、可愛い子供がこんなになってしまったと、涙がポロポロ落ちてきました
泣いて泣いて、それで今日はやっと娘の顔が見られると覚悟して挑んだのに、口からおお、おおうって嗚咽が漏れて、床にうずくまって動けなかったんです

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