パステルカラーのタイルが敷き詰められた歩道を歩く。
暖かい日溜まりのなか、道端にはいつものように鳩たちが群がっていた。
見慣れた景色、いつもの朝。
ただ、ゆるやかに吹く風に、少しずつ春の訪れを感じさせるものがあった。

「また、少し暖かくなったね」
オレの顔を覗き込んで、あかりが言った。
前髪がちらちらと風に揺れていた。
「もう春だもんね」
「そーだな」
無感動なオレの反応に、なにがおかしいのか、あかりはくすっと笑った。

そして訪れた3月、4月。
さわやかな春風とともに、主人公の恋愛ストーリーが始まろうとしています。