逃げようとしたときには、すでに地鳴りのような音と共に津波が一瞬にして私たち家族5人を飲み込みました。
しばらく津波に流された後、私は運良く瓦礫の山の上に流れ着きました。
その時、足下から私の名前を呼ぶ声が聞こえ、かき分けて見てみると、釘や木が刺さり足は折れ、変わり果てた母の姿がありました。
右足が挟まって抜けず、瓦礫をよけようと頑張りましたが、私1人にはどうにもならないほどの重さ、大きさでした。
母のことを助けたいけれど、ここに居たら私も流されて死んでしまう。
「行かないで」という母に私は「ありがとう、大好きだよ」と伝え、近くにあった小学校へと泳いで渡り一夜を明かしました。