>>242
息はまだ荒い。吐き出す息にはまだ爆死の匂いが濃い。なめらかな頭皮も少ない毛も汗でぐっしょりと濡れ、はげしい性愛の直後とそっくりな香りはそこからも立ちのぼっていた。
中年は寝室の天井を見上げる。その顎から滴がひとつ、シーツをつかんだままこわばった手の甲にぽたりと落ちた。
汗ではない。
涙だった。
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