第一の事実は、人間はできごとが実際に生じた約0.5秒後になってはじめて、そのできごとを意識することができるということである。
しかもそれを意識した際には、0.5秒前に生じたできごととして、意識の方で時間を補正して認識していることも示されている。
さらに興味深いことに、日常的な訓練によって獲得された行為の場合には、被験者に刺激を与えて0.15秒後、つまり意識の生成に0.35秒ほど先立って、身体の応答が開始されるという。
これは意識に先行してはたらく無意識の領域の存在を明確に示している。
第二の事実はさらに衝撃的である。人間が自由意志に基づいて行為をおこなう場合に、自由意志を発動する約0.55秒前にすでに無意識のうちに、その神経活動が始まっているという事実である。
そして0.2秒前に運動の意図を意識し、0.55秒経過した後で運動を開始するという。このことは被験者が意思決定したと感じるよりも0.35秒前に脳活動が始まることを意味している。
つまり自由意志に基づく意思決定は、普通、「原因」と考えられるが、この事実は意思決定が「結果」でしかないことを示しているのである