亡国フランフラワの『聖女』は、デッドキングメイソンの名において、
ミナシゴを鍛え育てる為の血と悲劇を呼び込む呪われた血の交配を繰り返すことで
『宇宙で一番不幸になる才能』を与えられ、ニルヴァーナに誕生した。
華やかな花の国で、聖女はおよそこれ以上ないほどの愛と、
尊敬に値する親の理想に包まれて成長し……――すべての希望を踏みにじられた。
これまでの愛に偽りはなく、王たる家族への尊敬に嘘はなく、聖告が告げる聖女の力は本物だった。
ただ、純潔を謳うには血と嘘にまみれた悲劇の歴史が、
聖女から信じたものすべてを取り上げ、汚泥の中に捨てさせた。
幸せな生活の中にあった周辺国家からの搾取、笑顔の裏にあったジャンヌという名の生贄の育成、
夫婦愛の中にあった『死の王女を生み出す』という決意《シゴト》。
これらの悲劇を背負って生まれた悪女《ジャンヌ》に、愛される場所は存在するはずがなかった。
聖女という肩書、純潔という素質、ミナシゴとして、宇宙の破滅に立ち向かう才能……
それだけが、過去のデッドキングメイソンの全てだった。