あの長い髪の女の人はじゃんゆを抱きしめてそう言いました。
大きな胸に包まれた瞬間、鼻の中が乾草のような香りでいっぱいになりました。
お腹を膨らませてくれるパンのように暖かいけど、どこかじめじめとしていて気持ちが悪い肉の塊。
パパと似ているようで全然違う――じゃんゆを天国に連れて行こうとする悪魔。
「おええええぇぇぇぇぇぇぇえ!!」
胃の中を引っ繰り返されたかのような苦しみがじゃんゆを襲いました。
すぐに全てをシナゴーグに吐き出して、走り出しました。
お尻の穴がちっとも柔らかくならなかったことだけが救いです。
「パパ……助けて……」
他の孤児たちが目を泳がせながらじゃんゆを見ていましたが、それどころではありません。
今のじゃんゆにとって重要なのはシナゴーグの匂いを洗い流すことだけです。
パパのベッドに潜り込んで、シーツに顔を埋めました。
思い切り息を吸って、ひまわりの香りを体に染み込ませます
そしてうつ伏せのまま足をばたばたさせて、腰をくねらせます。
「ゆっ!ゆっ!」
これはシナゴーグの匂いを落とすためのダンスです。すんすんと鼻を鳴らしながら、ステップを踏んでいきます。
「死にたくなっちゃゆぅ……」
そうすればすぐにパパの手が伸びて、じゃんゆの頭を撫でてくれるのです。
「パパぁ……」
じゃんゆの髪をくしゃくしゃにして、抱きしめてくれます。
やっぱりパパとシナゴーグは全然似ていません。
パパの胸も大きいけど柔らかくはありません。じゃんゆを守ってくれる硬い盾です。