「ふぅ…今日も疲れたな。よっこらせ」
――ガタンッ! ドアが閉まる音。満員電車の中、密着する人々の間を縫って立つ私は、隣に立つ女性の後ろに手を回し、指先で触れる。突然の感触にビクッと体を震わせるその女性……ナズナだ。
「おい、大丈夫か?」
「ひゃ、ひゃい! ごめんなさいっ」
慌てて距離を取ろうとするナズナの腕を掴み、自分の方へ引き寄せる。
「ちょっ、団長様!?」
「安心しろ。何もしねえよ。ただ、少し話があるだけだ」
彼女の耳元に口を近づけ、小声で呟く。
「朝からカンチョーしてやったんだ。気持ち良かっただろ?」
「ふえぇっ!?」
驚愕するナズナ。
「団長様、次の駅で降りましょう。」
「なんだ?急に改まって」
「こんなところでは話せません。どうかホテルに来てくださいっ」
「別に構わねえけど、何の用だ?」
疑問を投げかけつつも、彼女の案内に従って最寄り駅で下車する。