経営者人生最大の失敗

自分の経営者人生で一番の失敗は何かと言われると「現場を丸投げした」ことです。当時の役回りとしては僕が東京で営業して、2年目から入った同級生が京都の開発現場でプロデューサーとして社内を仕切っていました。

その際、共同代表だけに留まらず、共同社長という立場にしてしまい、会社のコアであるゲーム開発の責任をすべて投げてしまいました。

ゲーム事業が始まった初期は僕が外部との折衝や資金調達を行い、それがとても重要でしたが、ヒットタイトルが出てからは一時期その重要性が薄れてしまいました。

その際、ちゃんと開発現場をわかった上で委託していたら問題なかったのですが、丸投げしてしまっていたため、全く手出しも意見もできず、社長としての役割を完全に失いました。

僕はこの経験から一つの強い信念を持っています。それは「社長が現場に立てない会社は弱い」というものです。B to Bの会社は社長はNo1営業マンであり、 B to Cの会社は社長はプロダクトオーナーであるべきと思ってます。

楽天の三木谷社長と交友のある、とある先輩経営者からきいたエピソードがとても印象的です。

その方はある日三木谷社長にゴルフに呼ばれ、食事の際に。「楽天モバイル、俺が何十万台(何百万台?)か営業することにしたから、お前の会社でも頼むわ。」と言われたそうです。

サイバーエージェント社の藤田社長は、AbemaTVのほとんどの会議に出てるという噂をよくききます。

そのクラスの人たちですら現場に立ってるのだから、自分ごときが現場を離れるとか部下に任せるとか言ってたら、絶対に会社は伸びません。

ゲーム会社でもちゃんと社長が組織とコンテンツ制作の現場に立ち続けないと会社は成長しないと思っています。
本当に苦しかった6年間

テクロスの開発拠点は京都にあります。僕はほとんど東京の営業拠点にいて、資金調達や外部との折衝を担当しており、開発部分は京都のメンバーに丸投げしてしまっていました。

そして開発の現場に自分が一切立たず、そのままヒットタイトルが生まれてしまったので、社内での影響力を完全に立場を失いました。

会社は成功してうまくいっているのにも関わらず、自分の役割はとても少なく、文字通りたまたまうまくいった感覚でした。その頃は今から振り返っても精神的に本当に辛い毎日でした。

ユーザーや現場と向き合い大変そうな他の経営陣を横目に見ながら、気を使いながら何かできることはないかと探すものの、現場視点がなく目線が合わなさ過ぎて会話が嚙み合わない日々が続きました。
何とか自分の事業を作ろうと奔走する

このままでは本当にまずいと思いながら、色々なことに手を出しました。英会話、比較メディア、ウェブトゥーン、不動産、とりあえず立ち上げようとしてみてはみたものの、結果的には全て撤退しました。

この頃に声をかけて社内に入ってもらった方や社外の方々には多大なるご迷惑をかけてしまい、本当に申し訳なく思っています。

結局自分自身が責任をもってやりきれない領域を丸投げする様な形になってしまい、中途半端な結果でした。自分自身が先頭に立って責任を持ってやり切れるものでないと始めるべきではないと強く思っています。