ある朝、ぼくが目を覚ますと、リビングのソファに見知らぬネコが座っていた。
しかも、ネクタイを締めて、書類の束を前にしている。

「おはようございます。今日から私は社長です。」

ぼくは目をこすった。寝ぼけているのかと思ったら、ネコは威風堂々とパソコンの前に座り、パチパチとキーボードを叩き始めた。

「本日の会議の議題は、キャットフードの増産と、昼寝の時間の拡張です。」

会議室にはぼくと冷蔵庫しかいない。
ネコ社長はホワイトボードに「昼寝時間8時間 → 12時間」と大きく書き、満足げに尻尾を振った。

ぼくが言った。「でも、それって…人間の仕事どうなるの?」
ネコ社長はにっこり笑って、耳をぴくぴくさせた。
「人間は寝るか、ネコの指示に従うか、選べます。」

結局ぼくはその日、会議も報告書も提出せず、ネコの昼寝指導を受けることになった。
そして夜、ネコ社長は満足そうに言った。
「明日もよろしく。あ、給料はキャットフードで。」

ぼくはため息をつきながら、ネコ社長の机の下に置かれたキャットフードを見つめた。
…明日もまた、この会社で働くんだな、と。