「パイロット…って…」
「やっぱりセンセだけか」
「え…」
「綾波も惣流のヤツも知っとるみたいやったけど」
「…」
「センセはすぐ顔に出るからな。知っとったら誘っても来ぃへんかったやろうし」

今度は頭の中を(どうして…)がグルグル回り始める。

「どうして…トウジが…」
「苦しゅうないか?」
「え…?」
いつの間にか、トウジが目の前に立っている。
「なに?」
「暑いやろ」
「え?」

いつものボケとツッコミのような会話にならない。
その上、唐突なトウジの言葉に翻弄される。

トウジの指がボタンにかかって、ようやく自分の動悸と、首すじに流れる汗の感覚に気づくシンジ。

(続く)