高うんじゃなくてもこうんだけどゆるちて

「あ、そうだ、加藤さん。よかったらあとでマッサージどうですか?」
「は? マッサージ?」
「同期のバイト先が潰れたらしくて、そこで余ったオイルもらったんですよ」

突然オイルマッサージどうですかって何なんだ。
ツッコミどころが多すぎて逆に素直に頷いてしまった。

「なんか高いやつタダでくれるっていうからもらったんですけど、よく考えたら自分じゃできないんですよね。もったいないなーと思って」
「お前マッサージなんかできんの?」
「テレビで見たことありますし……大丈夫じゃないですかね」

適当なやつだ。でもまあタダでマッサージしてくれるならいいだろう。最近生放送続きで疲れてるし。せっかくなのでありがたく受けることにする。


意外と本格的なのか、ベッドにバスタオルが敷かれていた。指示通りパンツ一枚になってそこに横になる。

「痛かったら言ってくださいね」

背中に体重が乗る。大きめの手はあったかくてヌルヌルして気持ちがいい。

「あー、きもちいい、かも」
「そうですか? こんな感じかな」

手が背骨をなぞる。ぞわぞわっと沸き立つ変な感覚。

「…っ、もこう、それくすぐったい」
「じゃあもう少し力いれますね」

ぐーっと押されると気持ちいい。と思う中に、少しだけ燻る感覚。にゅる、と滑った手が肩甲骨を撫でて、せめぎ合うそれが段々大きくなる。
身体を解すように筋肉を揉みほぐされるとなんだか変な気持ちになってくる。やばいやばい。

「なんか、変なかんじ、」
「そうですか? 力抜いてくださいよ」
「もうい、って……っ、!」