>>931
きゅんが出て行って1週間経った。きゅんがここに滞在していたのとほぼ同じ期間の不在を、俺は経験したわけだ。想像した以上の地獄だった。自分はずいぶん弱ったような気がする。
きゅんは毎日電話をくれる。そして「好きだ、会いたい」と言う。電波を通すきゅんの声は別人のように聞こえることがある。疲れているのか?と聞くと「大丈夫。あなたは?」と聞き返す。俺も「大丈夫」と答える。

話をしている時は良いのだ。しかし夜中になると妄想が苦しく眠れなくなる。
俺は酒を呑んで寝付こうとする。きゅんはもう眠っているだろう1人で。・・本当に1人なんだろうな?・・きゅんは酒を呑まない。俺が寝酒を飲むように、眠るために誰でも良いから男に抱かれたいと思ったりはしないだろうか?

俺は不安を打ち消すために、俺を想って自慰をするきゅんの姿を思い浮かべる。きゅんは清潔なタオルケットを身体に掛けるだろう。そしてたぶん顔を左向きに傾けて目を閉じる筈だ。
タオルケットの下の左手は大きく円を描き胸を微かに擦ってゆく。右手を伸ばしpoに触れる。そして両脚を立てて開く。右手を袋からpoの方向に摺り上げ擦り下ろす。半開きの口から吐息を漏らし、顔を左右に動かしていやいやを始める。上唇がめくれる。
白いタオルケットは中に生き物が入っているかのようにもぞもぞと動く。身体の上下で違う動きをするので、2匹の小動物がきゅんの身体を嬲っているように見える。身体が小動物の攻撃に負け始める。きゅんはどんどん切ない気持ちになり、金魚のように口をぱくぱくさせる。