「何してるの」
タオルケットの中で動かしていた手を止め、声がする方に顔を向ける

(え、なんで、鍵閉めた…よな…?)

声の主が近づいてくる
「ドア叩いたんだよ?でも応答ないからドア開けてみたら開いたんだ
というかこのホテルオートじゃないから鍵閉めなきゃダメだよ」
そう言ってタオルケットに手をかけてきたのを見て、咄嗟に
「駄目っ!!!」
とタオルケットを握る手に力をこめる
そんな僕を少し笑って見下ろしながら「今日俺の近くで派手に転んでたろ?
氷もかなり削れてた
大丈夫かなって心配で来たんだよ
足見せて」
と、またタオルケットに手をかけてきた
それをふわりと避けて右足首だけをタオルケットから出して見せる
「ほら、大丈夫だよ」
「…うーん…まぁ腫れてはいないか」
そう言って触って確認する手の動きに少し反応してしまった
「ごめん、痛かった?」
いや、全然と首を振ったぼくの顔を見ながら、足首をさすっていた手を膝の方に移動させてくる
「え…なに…」
と言ったぼくの目から視線を外さず
「何してたのかなと思って」
と言って膝より更に上まで手を動かしくる
上に逃げようとようとするぼくの動きより早く、あっという間に足の付け根に手が到達してしまった
「足首よりこっちの方が大変なことになってるね」