亀山早苗の『ロマンポルノとその時代』

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「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」(1974年 出演 小川節子、大山節子)

ユリ・ゲラーのスプーン曲げなど「超能力」がテレビで放映され、超能力・オカルトブームが始まった1974年は、いろいろな1号店が開店した年でもあった。
ファミレスのさきがけデニーズ、サーティワンアイスクリーム、コンビニのセブン―イレブンなどなど。
高度成長期が終わりを告げて経済は成熟期へと移行、そして人が便利さを求めて奔走しはじめた年なのかもしれない。

一方で、田中角栄首相が退陣、三木武夫内閣が誕生。庶民は狂乱物価に右往左往した年でもある。
大分県別府では、妻子3人と車ごと海へ転落、自分だけ助かった男が保険金目当ての殺人だったとして逮捕される事件もあった。
世の中はいつでも裏と表、陰と陽が一体となって動いている。

そんな年に公開された「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」(藤浦敦監督)が、なかなかの脱力感で笑わせてくれる。
主演は噺家の柳家かゑる、現在は落語協会最高顧問の鈴々舎馬風である。

彼が色事に夢中で、女盗賊のひとり・お艶に恋してしまう放蕩の若旦那を演じている。
その若旦那にくっついて分け前をもらおうとするちゃっかり者の腰巾着・半太郎がケーシー高峰。随所に落語のネタをちりばめた作品である。

故・三遊亭圓歌氏も出演、「山のアナアナ」と当時流行っていたネタを披露。

お艶に一目惚れした若旦那は、必死で彼女を探す。
放蕩が過ぎて父親に勘当され、腰巾着の半太郎の長屋で居候となったころ、ひょんなことからお艶を捜し当てる。
お艶はこの先、盗人に入る予定の大店の旦那に近づき、その妾となっていた。若旦那はお艶の作り話に騙され、彼女を救うために大店から千両箱を運びだす。

気軽に観られる作品なので、うっかり見落としがちだが、柳家かゑるが放蕩の若旦那を堂々と演じているのがすごい。
噺家は間をとるのがうまいのと、腰巾着のケーシー高峰が彼のよさを引き立てるような軽妙さを巧みに醸し出しているからだろう。

また、お艶を演じている小川節子がなんともなまめかしい。
最後は落語「品川心中」よろしく、若旦那に心中を迫って一緒に川に落ちてしまうが、自分だけ助かったと思ったお艶は「若旦那にかわいそうなことをした」とつぶやく。
自分のために身を投げ出してくれた男に気持ちが揺れる女心が伝わってくる。

もちろん若旦那は死んではおらず、江戸をあとにしようとするお艶を追いかけてくるのだが、「自分のために必死になってくれる男に、女は惚れる」というのは恋の基本。
今どきの若い男性たちに観せたい作品である。

以下ソース
http://www.dansen-web.com/article/detail/7947123/

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