戸叶和男『日本奇習紀行』

 エンタメ大国・アメリカの影響からなのか、日本でも年々リアリティショーの要素を持った番組が放送されるようになっているが、こうした「人の色恋沙汰を傍観する」という文化は、それが「番組」ではないにせよ、古くから日本の一部で行われていたようだ。

「そうね、若い男と女の色恋を、みんなで見守って、うまくいくように手助けしてやるっていう習慣が、昔はあったよな」

 かつて某島嶼部のとある小さな離島で行われていた奇妙な風習についてそう語るのは、現在もなお、当地で近海漁を続けているという“現役漁師”の佐藤孫七さん(仮名・88)。佐藤さんの話によると、その昔、同島を中心としてこの地方では、若い男女たちの恋愛模様を、島民全員で見守り、その想いが成就するように仕向けるという、なんとも不思議な行為が行われていたのだという。

「若い男と女っていうのはね、大概、ちょっとしたことで揉めて、うまくいかなかったり、うまくいってもすぐに別れちまったりするわけなのよ。だからね、ここいらじゃ島の人間がさ、そういう連中を四六時中監視してだね、“ちゃんとした夫婦”になるまで世話を焼いてやるっていう習慣があったのさ」

 そもそも男女の色恋というのは、それぞれの自由意思ではじまり、そこからの流れも、基本的には当事者同士で進めていくというのが一般的である。しかし同島においては、そのスタートこそ当事者同士次第ではあるものの、その関係が成熟し、夫婦となるまでのプロセスは、島民たちの連携プレーによって進められるのだというから驚くばかりだ。

「まずね、“誰々と誰々が好きあってるらしい”っていう話になると、それを聞きつけた人間が、それぞれの両親にそのことを伝えてね、許可をもらうんだよな。それで問題ないっていうことになると、島の連中全員が、2人の間に入る形で、あれやこれやと世話を焼いて、2人をくっつけちゃう。それで実際にくっついたら、最初に契をかわす段取りだの、そのときの作法やらなんやらを“それとなく”教えたりしてね……まあ、それで目出度く夫婦になれたら、そりゃあもう、拍手喝采だよ(笑)」

 たしかに多くのリアリティショーにおいては、出演者たちの関係を深めるために、様々な人物がそれをアシストするのが一般的で、場合によっては「火のない所に煙は立てる」ような行為でさえも行われていると推測されるが、同島においては、それが「番組」でないにもかかわらず、こうした“過剰演出”ともいうべき行為を、島民全員が率先して、しかもそれぞれが連携する形で行うというのだから信じ難いものがある。

「まあね、そういうことなわけだから、初めて契りを結ぶときも、必ずみんなが物陰でそれを見てるわけ。それで“あーでもない、こーでもない”、“あれをやれ、これをやれ”と囁きあいながら、当人たちはコトに及ぶっていう。そういう習慣だわな」

 その恋愛関係が深まるようにそれとなくアシストするだけならばまだしも、初めてのセックスでさえも多くの島民たちが見守り、若い2人が無事に夫婦となるその日まで、懸命に尽力し続けるという同島の人たち。リアリティショーの出演者と、番組スタッフとの関係を彷彿とさせるこのシステムは、それが「番組」ではなく、まぎれもない「現実」であることを思うと、誰しも奇異な印象を抱くというのが、正直なところではないだろうか。

以下ソース
https://tocana.jp/2019/06/post_96440_entry.html

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