新型コロナウイルスが猛威をふるい、ついに緊急事態宣言が出された。飲食店の多くが時短営業あるいは一時休業となり、なかには泣く泣く閉店を余儀なくされたケースも少なくない。

 政府や自治体からは「密閉」「密集」「密接」の“三密”を避けるよう注意が呼びかけられているが、最初にクラスター(感染集団)が発生したことからやり玉にあげられたのがライブハウスだ。当然、こんな状況下ではイベントを開催することなど出来ず、経営が成り立たない。いま、ライブハウスの経営者は何を考え、これからはどうやって生きていくつもりなのだろうか。

「僕、19歳から24年間ライブハウスで働いてきて、これしかやってこなかったんですよ。こんなに暇になったのは人生で初めてです」

 こう話すのは東京都内でライブハウスを経営する正田さん(43歳・仮名)だ。トークイベントが中心で、フロアのキャパシティは50人で満員になる。昨年は連日のようにイベントを開催し、儲かっていたそうだが……。

「昨年の12月は忙しかったですね。ほっといてもイベントが埋まる状態。今年1月も良かった。2月は毎年あんまり調子がいいわけではないので、確定申告もあるし、少し休もうと思って余裕をこいていました」

 しかし、2月15日に『大阪京橋ライブハウスArc』で行われた公演に新型コロナウイルスの感染者が参加していたことが判明。一変して暗雲が立ちこめる。

「2月の後半、イベントのキャンセルが2本続きました。ちょっとヤバいかなと思って3月に入ると、数か月前から決まっていた企業系のイベントがキャンセルに……。これはマジで大変なことになるかも、と焦りました。でも、自分ではどうすることもできなくて」

 結局、3月は5〜6本しかイベントが開催できなかったという。そして、さらに状況は悪化する。都内の有名ライブハウスで感染者が出てしまったのだ。

「4月はゼロです。3月20日に渋谷の『LOFT HEAVEN』で開催されたイベントで感染者が発覚して……しばらく閉めることを決意しました。収入は全く無くなりましたが、僕の店は一人で切り盛りしているので人件費はかからないし、家賃も安い。それに店舗を増やそうと考えていた矢先だったので、その点にかんして言えば、不幸中の幸いだったのかもしれません」

 今まで順調だった仕事が突然、コロナウイルスによってゼロになる。とはいえ、正田さんには妻と子どもがいるため、収入を得なければならない。

「ラーメン屋とか床屋とか、一般的な業種の個人経営者がうらやましい。自粛ムードのなかで営業していても『生活があるから仕方ない』と思ってもらえる。一方、僕みたいなイベント屋は『こんな状況なのに何をやってくれているんだよ!』と非難を浴びてしまいます。こっちは仕事として真剣にやっていても、世間から見れば“遊び”という商売なのは、自分でも理解していますが……」

 実際、今後はどうするつもりなのだろうか。イベント再開の見通しはあるのだろうか。

「ライブハウスの復活は、今はまったく考えられないです。とにかく早く平和になってもらいたいだけです。とりあえず今日、秋葉原でライブ配信用のパソコンを買ってきました。これから有料配信を始めようと思って。それで稼げるようになればと。電気屋さんに聞いたら、動画配信用の機材が売れているようでした。たぶん、似たようなことをみんな考えているのかもしれません」

 今後しばらくはイベントを打つことができないのは事実。正田さんは演者を呼び、ライブ配信を始めるという。ただ、これまで動画などを手掛けた経験はなく、イチから手探りで勉強するつもりだ。

「先は見えないけど、前を向くしかないです。とりあえずライブ配信有料化に全力で臨み、コロナが完全に収まったら以前のようにイベントをやって、また演者たちと会いたいですね。その日が来るまで頑張るだけです」

 その目には、力強い光が宿っていたのだった。

<取材・文/今永ショウ>

以下ソース
https://nikkan-spa.jp/1659578

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