新型コロナウイルス感染拡大による自粛生活のなかで、若者の性に関する問題が増加している。若者の性の問題に取り組むNPO法人ピルコンには、10代からのメール相談が3月には98件、4月には97件、5月には75件寄せられており、それまでの約2倍の数だという。

 また、「妊娠しているかもしれない」という相談が4月と5月で40件ずつあり、実際に妊娠にしていたケースもあった。

 2019年『「若者の性」白書 第8回 青少年の性行動全国調査報告』(小学館)によると、高校生男子の約14%、女子の約20%がセックスを経験済みだという。10代の妊娠は決して珍しくない。

 子供の軽率さを責めたくなる親も多いだろう。しかし、子供だけを責めるのは筋違いだ。前出のピルコンには、“そんなバカな”と思わせられる、こんな質問が寄せられているという。〈彼氏に“おれのこと好きならHなことをしろ”と言われますが、してあげないとダメですか?〉、〈妊娠しているかどうか、どうしたらわかりますか?〉、〈安全日だと思う日にセックスしたのですが妊娠しますか?〉──。ピルコン理事長・染矢明日香さんはこう話す。

「日本では性教育をタブー視する傾向にあり、学校でも、生殖の知識や男女の体の違いなどは教えますが、セックスで妊娠することや、コンドームである程度の避妊ができること、コンドームのつけ方など、実生活に落とし込まれた知識は教えていません。そのため、セックスをした後、自分の身に何が起こるか、思い描けていない10代が多いのです」(染矢さん)

 小中学校の学習指導要領では、セックスや避妊を教えては“いけない”とされている。

「妊娠の過程や経過を教えられない学校だけに、性教育を任せるのは間違いです」

 と、産婦人科医の宋美玄さん。学校で教えられなくても、いまはネットから、さまざまな性情報を得られると思うかもしれない。しかし、そのなかには、間違ったものも多い。どの情報が正しいか、判断ができる程度の性知識を教える必要が、親にはあるのだ。

「性の話をするのが普通な土壌を家庭につくっておくのがおすすめです」(宋さん)

 では現実問題、子供に妊娠を告白されたらどうすべきか。

「“高校生の娘に妊娠したと言われ、どうしたらいいかわからなくて。私の責任です”と泣きながら相談してくるお母さまもいらっしゃいます」

 とは、思いがけない妊娠に悩む女性を支援するNPO法人ピッコラーレの副代表で助産師の土屋麻由美さんだ。

「動揺する気持ちは当然だと思いますが、そんなときこそ、『いちばん困っているのは娘だ』ということを思い出してほしい。まずはお子さんの話を聞いて受け止める姿勢を見せることが大切です」(土屋さん)

「相手は誰?」「10代で育てられるわけがないじゃない」など、責めたてるような言葉を子供に投げかけてしまう親が多いが、どれもNGだ。

「このような言葉を浴びせられたら、せっかく勇気を振り絞って相談したのに、子供は絶望し、殻に閉じこもってしまいます。特に、一方的に“中絶しなさい”は厳禁。“いままで命は大事だと言ってきたのに、私の子供の命はどうでもいいんだ”と失望させてしまいます」(土屋さん)

 本人がどうしたいか、その気持ちを聞くことが最も重要だ。若年で妊娠した経験のある染矢さんは、こう力説する。

「私自身、20才のときに思いがけない妊娠をしました。絶対に怒られると覚悟して、相当の勇気を出して親に伝えたのですが、予想を反して怒られなかったんです。それどころか、“産むにしてもそうじゃないにしてもあなたの意見を尊重するよ”と言われて、すごく心強かった。それで彼ともよく相談し、納得したうえで中絶することに決めましたが、その際にも母から、“自分の選択にどれだけ前向きになるかで、その価値は変わるからね”と言われたことが、大きな心の支えになりました」

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20200711_1577160.html

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