絵本やアニメ、人形劇などでおなじみのヨーロッパの昔話『三匹の子豚』は、子豚の三兄弟がそれぞれ藁(わら)、木の枝、レンガで家を作る。レンガは重くて家を建てるのに時間がかかるため他の兄弟から笑われるのだが、恐ろしい狼がやってきても無事だったのは、レンガの家だけだった。全国で死者・行方不明者5000人超を記録した1959年の伊勢湾台風並みと言われた2020年の台風10号を前に、気象庁は早くから警戒を呼びかけ、進路にあたる九州の人たちは、レンガの家を建てた子豚のような準備をして備えた。災害が多発する世紀であるにも関わらず、ネットでは子豚のレンガの家を嘲笑うかのような発言が少なくない現実についてライターの森鷹久氏がレポートする。

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 経験したことのないような威力、とまで言われた「台風10号」。9月7日時点で、九州中国四国の859万人に避難指示や避難勧告が出され、九州山口では実に20万人が実際に避難した。民放キー局の気象担当記者が振り返る。

「近年、天候が荒れることは珍しくなくなってきましたが、今回の台風は本当にまずいという空気が、気象庁内にありました。私たちも報じられる3〜4日前から、台風に備えてどう報じるか、検討を進めていたのです」(気象庁担当記者)

 台風10号に関する報道で「マスコミは煽りすぎ」という意見が、ネット上にも目立っていた。台風一過、想定されたような被害が出ていないことが確認されると、そういった意見はより多く見られるようになった。北部九州在住の筆者の友人(30代)は、こうしたマスコミの報道を見て、避難所になっている近くの公民館を訪れた。

「避難所が一つしかないため、すでに避難民で満杯。お年寄りも多く、コロナ感染の心配もある。マスコミが必要以上に煽るからみんなが避難してくるって、地区長も苦笑いをしていたほど。パニックになって喧嘩とかのトラブルもあったようだ」(筆者の友人)

 気象庁担当記者、そしてマスコミの意図が、多少曲がってはいるものの、しっかり視聴者伝わっていた、ともいえよう。友人が続ける。

「避難していた人に聞いたら、庭にある飛んでいきそうなものを仕舞ったり、屋根にブルーシートをかけてきた、という人もいて、避難だけでなく事前準備をしっかり行なっていた。実際自宅にいると、かつてないほど風が吹き、家全体が揺れ続けた。北部九州の人間で、大したことなかったじゃないか、というように思う住民はいないよ」

 友人だけでなく、九州に住む筆者の親も、電話取材に協力してくれた人々も、ほぼ全員が「すごい台風だった」と口を揃える。中には、屋根が飛び、部屋が水浸しになったという被害を受けた人、所有する車に枯れ木が倒れてきて乗れなくなった、という人もいた。幸いけが人はいなかったが、宮崎県では土砂崩れにより、今も4人の行方が分かっていない。

 筆者のように外から見ていれば、また従前の報道を見ていれば、被害がほとんどないように感じる人も少なくないが、それは結果論である。しかもその「結果」は、被害を最小限に食い止めようと準備した、市民、自治体職員、警察や消防といった人々の努力の賜物であるのだ。前出の記者が続ける。

「被災地域の人々は、怖い台風で準備しておいてよかった、避難できてよかった、と仰っていました。確かに台風の勢力は想定より落ちました、それもよかった、と喜んでおられました。気象庁関係者も記者も、思いが通じたのだと喜んでいます」(気象庁担当記者)

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20200919_1595421.html

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