0003逢いみての… ★
2021/03/11(木) 22:57:46.69ID:CAP_USER澁谷 こうしたタイアップ記事で包茎手術をアピールしていた医師は、ほぼ美容整形外科医でした。医学的に本当に必要な手術であれば、保険が適用されます。が、美容整形外科医は、手術が不要な状態までも手術が必要であるかのように見せ、自由診療の名のもとで患者から高額なお金をとっていました。
当時の読者も、冷静に考えれば、美容整形外科医の語りは服やクルマの広告と同じで、広告主が「ウチの商品、買ってね」と言っているだけだとわかったはずです。でも、記事はそうは見抜けない構造になっています。90年代の「スコラ」の記事は、包茎をディスる女性たちの座談会、男性による「包茎のせいで悲惨な目にあった」という失敗談、手術をすすめる美容整形外科医のインタビューの3要素で構成されていることが多かった。座談会や失敗談で読者を不安にさせた上で、「包茎を治すならコチラ」と救いの手を差しのべる構造です。普通の記事にしか見えないので、広告だと理解するのは至難のわざです。
――美容整形業界が「儲かるから」という理由で煽っていた媒体は、デートマニュアルを提供していた「ホットドッグ・プレス」など、読者に対する「教える」ポジションを取っていたものですよね。80〜90年代に消費や恋愛至上主義を焚きつけ、「こうじゃないとモテない」と読者に劣等感を植えつけ、「こうすれば脱出できる」というソリューションとしてファッションや包茎手術という商品をセットで売りつけていた。
澁谷 「クリスマスには彼女と過ごそう」みたいな特集がはやったのと同じ時期ですよね。「セット売りだった」という指摘はその通りで、それは誌面づくりからわかります。当時の記事には、「女のコが好きなファッションはこれだ!」「好きなデートはこれだ!」などのテーマで、多数の女性の顔写真を並べて彼女たちのコメントを紹介するものがあります。それとまったく同じ手法で「女のコが好きなチンチンはこれだ!」というテーマのもと、「こんなチンチンが好き」「包茎はきらい」などと女性たちに言わせている記事がありました。
――(笑)。「フィクションとしての女性の目」(社会学者・須長史生)を使った手法ですね。
澁谷 洋服を売るのと同じ感覚で手術も売られていたんだろう、と。ただ、洋服は取り替えが利くけど、手術は人体に関わることですから、そうした商売の仕方をしていたことについては厳しく追及しないといけない。
――記事広告を出す側は医者にしても編集部にしても誰も本気で「手術が必要だ」とは思っておらず、ただ「儲かるから」やっていただけなのに、多くの少年・青年が踊らされて、中には人生を思い悩むレベルで深刻に受けとめる人まで出てしまいました。
澁谷 ナチスみたいですよね。「個々人が上の命令に従って淡々と目の前の仕事をこなしていたことが、ホロコーストを引き起こした」といわれています。おそらく包茎手術を勧める記事を作っていた編集者やライターも、上の命令に従って淡々と作業していたのかもしれません。だからといってまったく容認できるものではないですが、個人が日常業務をこなしたあげく、いつの間にか陰惨な事件に加担していた点では似ていると思っています。
続く