娘はその後も「接種して」と何度も連絡をよこしてきたが、それでも断ると、今度は古田さんを“ボケ老人”扱いし始めたという。

「ネットで変な噂を読んだんじゃないかとか、いろいろなことを言われました。でももう、何を言っても分かってくれませんから、ひっそりとコロナ禍が収束するのを待つしかないという心境です」

 厚生労働省のホームページ内「新型コロナワクチンQ&A」には、「接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです」と示されている。また、職場における対応についても次のように明記されており、困った際の相談窓口も案内されている。

<職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう、皆さまにお願いしています。仮にお勤めの会社等で接種を求められても、ご本人が望まない場合には、接種しないことを選択することができます>

 ワクチンがなければ騒ぎ、ワクチンが届いても騒ぐ。せっかくコロナ禍収束に向けての、かなり現実的なロードマップが見えてきたというのに、人々の分断は深まるばかり。

 新型コロナウイルスの脅威がなくなったとしても、この様子では明るい近未来の到来は期待できないと思う他ない。

<取材・文/森原ドンタコス>