4月16日の日米首脳会談を受け発表された共同声明に、「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記され大きな話題となりましたが、もはや日本は外交面において、後には引けない地点に歩を進めてしまったようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、米中間の間でバランスを保ってきた日本が、ここまで台湾に深入りするという「方針の大転換」を選択したことが賢明であったのかを考察。その上で、我が国はすでに「曖昧な態度」が許されたデリケートなラインを超えてしまったと結論づけています。

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先日の日米首脳会談(@ワシントンDC)の際、菅総理とバイデン大統領の間で合意され、宣言にも明記された事項の中で、ひと際目を引いたのが、日米協力して台湾を守るとした文言でした。

中国(北京)との国交樹立以来、日本政府はここまで台湾との“外交・安全保障”について深入りしたことはなく、また外交文書において、【台湾へのサポート】が明記されたこともなかったかと思います。

余談ですが、私が日本政府でお仕事をしていた際、台湾の代表部が行う様々なイベントへのお誘いがありましたが、明言こそなかったかと思いますが、基本的に参加は遠慮するようにとの理解があったように記憶しています。

それが、日米首脳会談後、日本政府内でも台湾への言及が増え、さらには今週だったと思いますが、自民党の外交部会も【日本政府による台湾へのコミットメント強化の必要性】について合意したとの報道もありました。主な理由としては、高まり続ける中国の脅威への対抗の必要性からの方針転換かと思いますが、アメリカと中国との間で、何ともデリケートな外交的バランスを保ってきた日本政府としては、方針の大転換がなされたようにも見えます。

さて、この方針の“大転換”は賢明なチョイスと言えるのでしょうか?

この潮流が出来たのは、アメリカ・トランプ政権時代に、対中政策の一つとして、中国・習近平国家主席が大中華帝国再興の最後のコマの一つで、核心的な関心に挙げた台湾“統一”(One China)を阻止することを選択したことに始まります。

米軍のアジアシフト、日本も加わるQuad(日米印豪)の安全保障協力、そして米政府高官の台湾への派遣などがその典型的な要素になりますが、バイデン政権になってから、台湾へのコミットメントをさらに深めています。

例えば、大使級の人物同士による外交的な交流、元政府高官(アミテージ氏など)の台湾への派遣、自らの就任式に台湾政府の駐米代表を招待するなど、明らかにアメリカ政府による台湾へのコミットメントレベルをエスカレートさせました。

確実にニクソン訪中以来のアメリカ外交方針を転換したように見えるのですが、非常に興味深いのは、今後も台湾と正式な外交関係を結ぶことはないだろうという米国務省内での見解です。

これにはおそらくアメリカ企業が行う中国への投資とのバランスがあるのだと考えますが、中国との経済的なつながりは保ちつつ(場合によっては、競争の下、強化しつつ)、インド太平洋地域の覇権を維持する名目で、台湾をそのための“対中最終ライン”と考えているように思われます。

日本の場合、アメリカ政府ほどの安全保障上の覇権問題はテーブルにないかと考えますが、そこを除けば、アメリカとほぼ同じようなスタンスを取ることになると考えられます。

中国(北京)への“配慮”から、台湾との国交回復はないと考えますし、日本企業の中国市場への進出度合いを見てわかるように、中国との関係を断絶するような手段は選ぶことが出来ないでしょう。

ならば、これまで通り、アメリカと中国の間で、どっちつかずのデリケートなバランスを保っていればいいじゃないか、と思われそうですが、米中間のチキンレースともいえる緊張が高まる今、そう遠くないタイミングでどちらかを選ぶ必要に迫られるでしょう。

続く

以下ソース
https://www.mag2.com/p/news/499715

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