【男性】「おっさんが同じ話を何度もする」呪い 青春時代の記憶は都合よく改ざんされて… しかも毎回微妙に内容が変わる[06/11]
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―[おっさんは二度死ぬ]―
それはたぶん、呪いのようなものなんだろう。
おっさんはいつも同じ話をする。とにかく繰り返し同じ話をする。どうやら、おっさん自身もある程度は俺、同じ話をしているかも、みたいに思う部分があるらしく「この話、したっけ」と前置きをするのだけど、それをした上で、やはり同じ話をする。
それは、単に忘れっぽいだとか、話のネタがそれしかないだとか、そういった要素ももちろんあるのだろうけど、もっと根っこの部分、深層心理のところまで掘り下げていくと、それはもう呪いなんだと思う。
つまり、何度も口にしてしまうほど、その「同じ話」に呪われているということだ。それはもう呪縛と言っても過言ではなく、同じ話をグルグル、グルグル、おっさんを円環に閉じ込める呪いと化すのだ。
本田さんもそんな呪いに囚われ、円環の中にその身を沈み込めた一人だった。
「でさあ、プロフィール帳ってあったじゃん」
本田さんはかったるそうな表情でそう言った。彼は駅前のパチンコ屋で知り合ったおっさんで、僕と同年代でちょっと年上ということもあり、なにかと話が合う人物だった。そんな彼が酒を飲み、盛り上がってくると必ずする話がある。
それが「プロフィール帳」のエピソードだ。
「あれ、この話、したっけ?」
「いえ、まだですね」
まだ何も話していない状態でそう質問することに大きな意味はない。単にこれからプロフィール帳の話をするぞ、という合図に過ぎないのだ。もう12回は聞いた、と思いつつも指摘はしない。なぜならこの話をするとき、その回数ごとに微妙に話の内容が変わっているのだ。それが楽しみで何度も同じ話を聞いている。
もうかなり昔の話だ。本田さんが通っていた中学校で奇妙なものが流行しだした。卒業を間近に控え、女子たちが慌ただしく何かを交換している。それとなく見てみると、淡いピンクに彩られた小さな紙があった。それが「プロフィール帳」だった。
それは一つのバインダー状の冊子になっていて、名前だとか住所だとか血液型、生年月日、メッセージなどを記入するようになっていた。早い話、プロフィール帳の名称通り、プロフィールを記入するようになっているのだ。
「ど真ん中にどでかいハートが書いてあった」
本田さんはそう主張するが、この部分のギミックは話を聞くたびに微妙に変化している。星型だったり、チューリップ型だったり、お姫様だったり、その日の気分で変わるようだ。だいたい調子がいいときはハートになるようだ。つまり、今日は調子がいい。
卒業を間近に控え、離れ離れになる友達にこのプロフィール帳の1ページを渡し、記入してもらうわけだ。そして最終的には友人のプロフィールがぎっしり詰まった1冊のプロフィール帳が完成するわけだ。
はじめは女子の間で流行していたが、次第にその数を競うようになってきた。つまりたくさん集めるほどステージが高いし、たくさん頼まれることもステータスとなっていった。そして女子だけでは収まらず、男子にまで侵食していったのだ。
最初は、女子に人気のスポーツ万能男子や、クラスの中心的存在男子など、今でいうところの陽キャ的な男子にのみ、そのプロフィール帳の記入依頼があったが、次第にその周囲の男子にまで侵食していった。ピンク色でかわいい絵柄のページが多く、男子たちは「こんなもの書けねえよ」みたいに照れていたが、まんざらでもない感じだった。
本田さんに依頼は来なかった。意味不明に放課後の教室や、夕暮れの下駄箱で佇んでみたりもしたが、どの女子からも記入依頼はなかった。この辺りは、なんど聞いても一貫して「放課後の教室」「夕暮れの下駄箱」で変化しないので、本田さんの中で譲れない何かがあるのだと思う。
そんな中、本田さんが好きだった麻美ちゃんという女の子がついにプロフィール帳に手を出した、という情報を入手した。麻美ちゃんは厳しい家庭に育っていたのでなかなかプロフィール帳を購入してもらえなかったが、ここにきてついに購入したようだった。
続く
以下ソース
https://nikkan-spa.jp/1757581
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http://mercury.bbspink.com/avplus/ クラス内でも比較的に人気のあった大物、麻美ちゃんの参戦に男子はもちろん色めき立ち、女子たちも一気にその競争心に火をつけた。結果、かなり激しくプロフィール帳の依頼が飛び交うようになり、男子まで依頼をする側で参戦しだす始末だった。憧れの麻美ちゃんに依頼されないならこちらから依頼すればいいのでは? という合理的考えだったようだ。
結果、クラス内で誰からも依頼されていないのは、本田さんともう一人、服部君という男子だけになったそうだ。
服部君は、小学校の時にクラス中の彫刻刀を盗んだというよく分からない逸話をもった男で、その動機も「100本並んだ角刀の彫刻刀が見たかった」というよくわからないもので、クラスには38人しかいなかったので38本しか角刀は揃わなかった。まあ、女子からも男子からも嫌われていた。
「その服部と俺だけなんだぜ、プロフィール帳を頼まれないの、おかしいだろ!」
いつもここで本田さんの怒りはマックスに達する。そしてちょっと涙目になる。
「そうですよね、本田さんは彫刻刀を盗んでいないのに」
僕もよく分からない言葉で宥める。
そんな本田さんにも大チャンスが到来する。
ある日の放課後のことだ。また意味もなく教室で黄昏れていた。もはやノーチャンスであることは心のどこかでわかっていたのに、それでも残らざるを得なかった。教室には本田さんと服部が残っていた。「はは、プロフィール帳を依頼されないヤツだけが残っているぜ」と心の中で自虐的に笑ったという。その時だった。
ドタドタと何者かが教室に飛び込んできた。それが麻美ちゃんだった。しかも手にはまだ記入されていないプロフィール帳の1ページを持っている。
「ははーん、最後の1ページだな」
本田さんのリサーチによると麻美ちゃんは人気があるので、プロフィール帳のほとんどのページを使い果たしていた。そして、交友関係のあった人にはもう記入してもらっている状態だった。ただ、この状況から察するに、ラスト1ページだったのだろう。これを記入してもらえればコンプリートする。麻美ちゃんは焦った。教室には自分と服部だけ、本田さんはもう大チャンスだと確信した。
「麻美ちゃんはなんとしてもコンプリートしたい。教室には俺と彫刻刀泥棒服部だけ。誰だって俺に頼むだろ?」
「そうですね、本田さんは彫刻刀盗んでいませんし」
僕は適当に返事をする。
本田さんは机の下で強いくガッツポーズをした。麻美ちゃんに頼まれたら、ちょっと驚きつつも、本当はそういうキャラじゃないんだけど、麻美ちゃんが言うなら書くか、みたいな硬派スタイルで受諾しようと考えていた。何度も妄想し、自室で練習したやり取りだ。
「最後にメッセージ書く欄があってな、けっこう大きい余白なんだよ。そこにドラゴンボールの悟空のイラストを書いて『ぜってえ連絡くれよな!』って書こうと思っていたんだ」
本田さんはそう言う。この部分はループごとに変わっていて、「聖闘士星矢」のフェニックス一輝を描いて「俺は不死鳥、不死鳥は何度でも蘇る」って書こうと思っていたパターンも存在する。プロフィール帳で不死鳥であることをアピールして何をしたいのだろうか。
また、幽遊白書の飛影を描いて「ふん、いつまでも友達だからな」と書こうとしたパターンも存在する。飛影はそんなこと言わない。
プロフィール帳の1ページを手に困惑する麻美ちゃん。本田さんの胸は高鳴った。絶対に俺だ。服部であるはずがない。俺だ。彫刻刀も盗んでいない。無限とも思える時間が流れ、時計から聞こえる秒針の音が異常な大音量に聞こえたという。
「うーん、やっぱいいかな」
あろうことか、麻美ちゃんは残った1ページをビリビリに破り捨てた。こいつらに頼むくらいなら破り捨てる。散り行く武士のような潔さだ。
「麻美ちゃんは優しい子だったからな、あそこで俺にだけ頼んだら服部がかわいそうだと思ったんだろ。あのとき教室に服部さえいなきゃなー」
本田さんの解釈は少しだけ違う。たぶん、そういうことではないのだろうと思う。でも本田さんはそう思いたいのだ。
続く これはもう、呪いのようなものだ。諦めきれない何かがある。あの時こうしていれば。それが大きな勘違いだったとしても、その思いがおっさんを縛り付け、同じ話を何度もさせるのだろう。
「お前もそう思うだろ」
「そうですね、本田さんは彫刻刀盗んでないですし」
適当に返答しておく。
まれに、そういった円環に身を沈めたおっさんのループ話に「その話、前にも聞いた」みたいな無粋な指摘をする人がいる。あなたが聞いたか聞いていないかは問題ではないのだ。それは呪いなのだ。どうかゆっくり聞いて、前に聞いたときとの違いを楽しんでほしい。 >>1
>>2
男性差別
エイジズムおつ
(´・ω・`)
工作員よ、まじで死ね カゲのオバケ「一言一句控えをとっておくから安心してね めちゃ長い作文だな。
スレタイしか読んでないけど、
老人が自分語りにある程度脚色を加えるのは
ある程度仕方ないだろ。 ループする上に長いとか戸愚呂弟が落ちた地獄の責め苦みたいやん ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています